川の流れのように

日々の小さな想いをつづります。

墓掃除寸感

もっと早く墓掃除をすればよいものを、

ダンナが仕事で車を使ってしまうと、なかなか掃除に行けず、

毎日のように早く行かなきゃ、早く行かなきゃと、壊れたレコードの様だった。

 

朝寝坊の私を当てにせず、今朝早くダンナが掃除をして来てくれた。

ありがとう。

 

それでも朝から30度はあっただろうか。

 

冷たい麦茶を飲んでホッと一息ついてから

「挨拶しても返事しない人がいて、二回声かけたんだよ。」と不満そうだった。

墓石に彫られた名前を聞いて、私は「ああそうなのか、、、、」と思う節があった。

 

その家には私より少し年上の二人姉妹がいて

綺麗な姉妹だったと記憶している。

お姉さんが結婚されて姓は変わったが、実家でご両親と同居していた。

そこの次男と我が家の長女が同級生で、幼稚園の通園バス乗り場でご一緒だった。

あいさつ程度で、特に親しくお付き合いがあったわけでは無いが、

記憶の彼方に、器量よしの男の子の面影が今でも少し残っている。

 

その姉妹の妹さんの方は頭の良い方で、独身でキャリアウーマンとして

便利な地方の都会に住んでいらした。

 

幼い子供二人を残して、お姉さんが亡くなられたのはもう数十年前の事である。

姑さんとます男さんで二人の子育てをして、

お墓に二人で自転車で来ていた姿などを思い出した。

 

二人の幼かった男の子達は、もう50歳近いと思うが、

この地には住んでいないので分からないが、

その妹さんがお墓掃除に来ていたのだろうと、ダンナに言った。

 

「そう言えば車が無かったから電車で来たんだな~

キャリーバッグにゴミを詰め込んでいたよ。」と。

「アラあ、、、、それは大変!」

暑いし、電車で刈った草を持ち帰るの、、、いやあ大変。

 

当地のお墓は昔から山と畑のなかに在ったが、

昨今の開発で周囲はすっかり綺麗で立派な住宅地となり、

家々に囲まれて賑やかになった。

 

お寺の墓では無いので、水道も無ければゴミ捨て場も無い。

殆どが近所に住んでいるので、車で来ては草を持ち帰って処分している。

 

その人は、70代の半ばだと思うが、こんな暑い日の墓掃除は、

まして電車で来てというのは、かなりの身心の負担になる事だろうと

お節介にも同情を禁じ得ない。

 

女の子しかいなかった家は、やがてこういうことになるのだなあ、、、と自分の事にも照らし合わせて、しみじみしてしまった。

 

その家の男の子たちはどうしているのか、、、

ふと思ったが、きっと世代交代が精神的にまだ済んでいないのだろうと勝手に考えた。

 

亡くなる数年前に、母がもう墓掃除はきつくて、

お前たちに任せたいと言われたことを思い出す。

私達は40代に入ったばかりだったが、世代交代、、、

親戚付き合いなどを移行しつつあった頃だ。

母は73歳で亡くなったが、父は健康でピンピンしていた。

 

仏事に気のない父に、不満を抱いて諦めていた母ではあった。

 

今朝はひとしきり世間話をして、まだ今は元気だけれど

いずれは考えなくちゃ、とダンナと話した。

打ち合わせと言おうか、会議というか(笑)

終活という言葉が、俄かに色鮮やかに脳裏に浮かんだ。

 

当地は13日に迎え盆だが、台風の予報が気になっている。

警報級の雨量とか、、、ずぶぬれで足元はドロドロでと思うと

早めに明日行ってしまおうかとも思う。

仏事に気のない父親そっくりの不肖の娘は、行かないという選択肢はなく

そこだけは少し世間体を気にしている。

一日くらい早回しでも、誰も叱る人ももう居ない。