川の流れのように

日々の小さな想いをつづります。

寂しい年の初めだったかもしれない

元日のお昼過ぎ、一番仲の良い友人からLineで海の写真が届いた。

 

九十九里浜に新しいオブジェが出来たのって。

結構な人出で浜辺は賑わっているという。

へえ、知らなかった、そんなオブジェが出来たの?どこ?と返すと

短めに数回返信が帰って来た。

一人?と聞くと、若い家族が全員居るので居場所がないという。

 

何度も来るLineに、鈍い私もさすがに察した。

暫くして私はうちに来る?

何もないけどおせちの真似事くらいよ~と返すと

いいの?行っても。

嬉しい!♪と、直ぐ返って来たので

招いて良かったと心の底から思った。

 

 

彼女が居場所も無く、明るいだだっ広い浜辺を彷徨っている図は胸が痛む。

 

 

 

天気も、周りの景色も明るければ明るいほど孤独は身に沁みるものだ。

 

幸い夫は元日早々、とは言わずに黙って受け入れてくれた。

もう、半世紀を超える付き合いなので姉妹の域に達していると思っている。

 

新鮮なイチゴを買って彼女はやって来た。

 

何もないけれど、少々のおせちと煮物や簡単なオードブルで

彼女は美味しいと喜んでくれた。

 

かつては大家族の真ん中に居て、幼い孫の面倒や若い人たちの生活の面倒まで

彼女夫婦は愚痴ひとつ言わず見てきたが、ここへ来て少し様子が変わって来た。

 

会うたび愚痴は聞いてきたが、老いて行く過程での孤独と悲しみは辛いものが有る。

 

彼女のダンナは元日からパチンコか競艇だそうな。

 

娘夫婦でも同居はなかなか難しいものだと感じる。

 

我が家は猫とジイチャン、バアチャンの気楽な暮らしで

リズムが出来上がっているから、彼女はとても羨ましがる。

 

でもね、これから若返るわけでは無いから傍に居てくれるのも安心でしょ、と無責任な発言をするが、彼女はそうよね、若返るわけでは無いものね。と諦めムードで頷く。

 

友人として彼女に支えられることの多かった私は

せめて彼女をドライブに誘ってあちこち一緒に行こうと、そう思っている。

 

彼女のお兄さんも、たまに私の現況を尋ねてくれるそうだ。

「彼女は元気か?」と。

 

そろそろ、お墓の場所もお互いに知っておこうねと話している。

 

余程の事が無ければ私が先に逝くことは決まっている。

 

ふと、私の墓前に花と線香を手向けている背の曲がった彼女の姿が浮かんだ、、、、、